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 シャガール展を観る


  東京ステーションギャラリーのシャガール展に行った。宣伝は「シャガールの彫刻」だが、実際は国内美術館所蔵と個人蔵を中心にした回顧展。点数は「多すぎる」と言ってもよい。

  興味深いのは「回想とは一線を画したシャガール」であろう。シャガール作品と言えば「私の村」のような望郷をモチーフにした絵が頭に浮かんでくるが、戦間期から大戦中に描かれた作品は、女性を中心に多彩な表現で見応えがある。

  彫刻はブランクーシというよりはジャン・アルプかな?という印象。シュールレアリズムの時代に試みられたスタイルが基になっている。

  あまりテーマとして論じられない裸婦が多かったのも面白い。しっかりとした、量感のある裸婦である。

  ユダヤ教徒のシャガールがイエスの受難を描いていることについて調べてみると、彼自身のハシディズム(自然の神性を認める)が根底にあるようだ。教会装飾と宗教画も多かったので、当然起きる疑問だ。

   「三次元の世界」を超えて、広い意味を持つ展覧会だった。
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月報11月1
月報11月2
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10月号1
10月号2
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アルチンボルド展を見る


 だまし絵ジャンルの巨匠として語られるアルチンボルド。その背景にはルネサンスから盛んになる博物学的な知見がある。当時の正確なスケッチの動植物は、現代の図鑑に収録されても遜色ない。神聖ローマ皇帝をはじめとする貴族たちは、「ヴンダーカマー」「クンストカマー」と呼ばれる「収集部屋」に珍しいモノを集めて、来訪者に自慢した。今のオタクの先駆けだ。

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『バベルの塔』展、『ベルギー奇想の系譜』展を見る


フランドルの絵画が今年は多く紹介されている。「バベルの塔」は建設中の塔を描いたバージョン。描き込みの細かさはシュールレアリスム的である。


共に展示されたボス「放浪者」「聖クリストフォロス」が収穫。ボスも有名な作品が毎年のように来る。これも描き込みの細かさがシュール。いつ見てもいい。


宗教改革500年なので、ボスも親交深かったルター肖像何点かも来日。これも貴重。


「奇想の系譜」は地味な企画だが、ボスの工房作品が何点かある。ボス三昧である。


デルボーもマグリットもあるが、オマケな感じ。ベルギー象徴派をもう少し見たかった。図録を見ると、東京展が最後なので多くの作品が帰ってしまったようだ。これは残念!

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 アドルフ・ヴェルフリ展を見る


東京ステーション・ギャラリーのヴェルフリ展は、アール・ブリュットの作家ヴェルフリの大規模な展示。青年時代に来たゾンネンシュターン以来のアール・ブリュット作家の紹介である。


精神病院で後半生を過ごした人物であるが、描かれたものの中にキリスト教的イメージが強い。彼の「作品」が保存される機会を得たのは、そのイメージによるところが大きいと感じた。


さらに、同じスイス出身のユングが傾倒した、マンダラのイメージが繰り返し描かれている。フラクタル幾何学の創始者マンデルブロは「マンデルブロ集合」を既視感のある形態と言い、アーサーCクラークは「眼をつぶって瞼を押すと見える形」と語っている。ヴェルフリも同じものを見ていたのだろうか?


さらに、マンダラのイメージはビンゲンのヒルデガルトにつながっている。こうした世界イメージは抑圧されたイドの領域に胚胎していて、瞑想や狂気によって「意識の昼」が眠り込むと現れるようだ。


東京都障害者美術展ももっと重視されるべきだと、改めて思う。


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「これぞ曉齋!」展を見る。


Bunkamuraの曉齋。有名なゴールドマン・コレクションだ。


真面目な曉齋よりも漫画家としての曉齋が面白い。絵がうまいからこそ、色々遊べるのだ。


ツイッターで話題になっている「地獄太夫」が素晴らしい。着物の柄が地獄模様。


曉齋のスポンサーのひとつは飴の榮太郎本舗で、作品を100円で購入したという。


宮尾登美子「序の舞」によると、十代で修行中の上村松園が博覧会に出した作品を、英国コンノート侯が20円で購入。母親は2円の間違いと思ったが、本当に20円で仰天したとある。師の松柏も「破格の画料」と言ってるので、100円が如何に高価かわかる。


有名な建築家ジョサイア・コンドルをコンダーと表記していたのが気になる。英語発音はコンダーでも、日本で普及しているのはコンドルである。彼は鹿鳴館を始め、多くの豪華建築を設計したが、暁斎の弟子としての顔も持つ。


お土産に榮太郎飴、地獄太夫缶入りを購入。

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『スケーエン:デンマークの芸術家村』展を見る。


西洋美術館の新展示室で行われているミニ展覧会。


精緻な鉛筆画が見どころ。写真がいくら進歩しても「描き出す」という行為は意味を失わないと実感する。


薄型ウオッチ「スカーゲン」の名前の由来。デンマークデザインが優れているのは、基礎に「ものをよく見る眼」があるから。それに気づかせてくれる。


我が家のダイニング家具はバブル崩壊の頃購入したデンマーク製。しっかりしている。

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