こんなのどう?
風雲児たち (みなもと太郎) 24巻を読む
みなもと先生、連載150回達成!24巻はヒュースケン暗殺から始まる。ということは手塚治虫の『陽だまりの樹』と重なっているわけだ。読み比べが必要になってきたぞ!これは大変だ。
ラウル・デュフィ展 を見る
デュフィの作品はフォーヴと言えばフォーヴなんだけど、あまりパンチがきいていない。しかし、感動したのはパリ万国博覧会電気館の壁画《電気の精》である。展覧会には本人作の復元リトグラフが来ていたが、それでも充分楽しめた。これは現代の『アテネの学堂』だ!タレースから始まる自然哲学者(つまり科学者)たちが一堂に会している。実際に電気の利用に道を拓いたのはファラデー、アンペール、ヴォルタあたりからだろうが、ニュートンやアインシュタインも理論家としてしっかり殿堂入りしている。デュフィは科学者の意見を聞きながら伝記を調べ、準備を整えて制作を開始したという。まさにモニュメンタルな作品である。この功績でレジオン・ド・ヌール勲章のシュバリエ章をもらったそうだ。日本にはないジャンルだな。
『ヒステリア』2011 を見る
ターニャ・ウェクスラー監督による「バイブレーター創世記」。実話というのがすごい。女性監督がこのテーマに取り組んでいるのも面白い。映画『ベティ・ペイジ』もそうだが、女性が「女性の性」を公然と表現する時、それを妨害するのは男性である。男性にとって、女性の性は、エロ本や風俗店に閉じ込められている限り安全な商品だ。しかし女性が自ら「性」を縛っている鎖を断ち切る行為は、男性の性支配を粉砕する行為でもある。発明されたバイブは女性の不満を「治療」し、自覚を促し、社会に目を向けさせる。だから、脅える男性は今でも、性表現する女性を逮捕し辱めようとするのだ。
『 原子爆弾の誕生―科学と国際政治の世界史』を読む
リチャード ローズ (著), Richard Rhodes (原著),『 高田屋嘉兵衛伝 』須藤隆仙 著 を読む
この本が書かれた時、函館の北方資料館は完成直前だったと言う。まさにその頃函館を訪ねたのだが、私が見たのは別の資料館だったのだろうか?蠣崎波響のアイヌ族長画を見た記憶はある。嘉兵衛についても紹介されていたはずだ。銅像も見たはず。…思い出せない。
『ある殺人に関するテーゼ』(2013)を見る
『グランド・イリュージョン』(2013)を見る
『トランス』(2013)を見る
『クロワッサンで朝食を』(2012)を見る
『ゼロ・グラビティ』(Gravity)を見る
アルフォンソ・キュアロン監督。監督賞ほかアカデミー2個受賞。
駄作。
そもそもCG映画。スターウォーズのスピンオフ作品みたい。
冒頭から悪ふざけをする宇宙飛行士たち、働いているのは女性だけ。女性に向けられるセクハラ発言の数々。船長の命令を聞かないクルーたち。慣性質量を無視した空間運動(もっと緩やかだ)。絶えず鳴り続けるやかましい音楽。
NASA・TVを毎日見ている人には嘘くさい演出だらけ。厳しい訓練に耐え、冷静沈着に任務を果たすスペシャリストに失礼だ。もっとリスペクトせよ!キューブリック『2001年』の偉大さが改めてわかる。彼は監督賞をもらえなかったのだ。
『ランナウェイ/逃亡者』(The Company You Keep)を見る
『ランナウェイ/逃亡者』(The Company You Keep)ロバート・レッドフォード監督・製作・主演。ニール・ゴードンによる2003年の小説を基にレム・ドブスが脚本執筆。
まず、日本語題名がひどい。映画のテーマは「時代を共有した仲間の連帯はどこまで続くか?」ということ。決して「トンズラする凶悪犯」ではない。センスのない邦題は時代精神がわかっていない配給会社社員によるものなのだろう。
レッドフォードの監督作を追っていくと、権力への粘り強い抵抗という一貫性がある。反逆の時代のテロリズムを肯定するのではないが、「あれは熱病のようなものだった。」などという安っぽい転向声明には与しない。
反戦活動家のモラルをそれぞれのメンバーが自分なりの形で持ち続ける姿。私たちの連帯はどうか?
『ヒッチコック』Hitchcockを見る
監督サーシャ・ガヴァシ、脚本ジョン・マクラフリン、原作スティーヴン・レベロ『アルフレッド・ヒッチコック&ザ・メイキング・オブ・サイコ』。
アルフレッド・ヒッチコック 監督による1960年の映画 『サイコ 』の製作の舞台裏を描く作品。アンソニー・ホプキンス、 ヘレン・ミレン、スカーレット・ヨハンソン など、豪華出演者。
『カポーティ』『エド・ウッド』など同趣旨の作品は数多い。ただし、これは裏面を描くのでなく夫婦の物語である。意外性はないが、役者に支えられて佳作になった例か。
ジャン・フォートリエ展 JEAN FAUTRIER を見る
2014年5月24日(土)~7月13日(日)まで東京ステーションギャラリー。
アンフォルメルの芸術家、ジャン・フォートリエ(1898-1964)の回顧展。なぜそれが芸術作品なのか、なぜその行為が制作なのか、彼自身のインタビュー映像をも交えて構成されている。作為と偶然の狭間に立つ現代美術の一断面。
『アルバート氏の人生』(Albert Nobbs) を見る
『アルバート氏の人生』2011年ロドリゴ・ガルシア監督、グレン・クローズ製作・主演・ 共同脚色・主題歌作詞の力作。LGBT映画であろうが、厳密には主人公はストレートである。貧しさから男装した女性の物語。徹底的に痛めつけられる女性たち。それを搾取するのも女性。だが、作品全体には穏やかさが漂う。悲惨の中に悲惨を超える聖性がある。ロベール・ブレッソン『少女ムシェット』のようだ。