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こんなのどう?

3 Jul 2014

 『ロンメル』と『パットン最期の日々』を見る。

宿敵二人の最期を描いた映画を見比べた。

ロンメルはヒトラー暗殺の「ワルキューレ作戦」関与を疑われ、詰め腹を切らされた。パットンはアイゼンハワーに解任された後、帰国前日に交通事故で頚椎を骨折し、病院で死んだ。どちらも軍人としては不名誉な死に様である。猛将の最期は結局、政治との対決で敗れたのだった。それでもなお、軍人が政治を支配した日本よりは活躍できたのかもしれない。

23 Jun 2014

『コン・ティキ』を見る


少年時代に読んだ ヘイエルダール『コンティキ号漂流記』の映画化。

ダメ。

原作の、フライパンに飛び込んでくるトビウオ、真夜中の謎の発光生物など、面白いエピソードが平凡な映像に矮小化されている。サメとの戦いなど、どうでもいい!

クストーの『沈黙の世界」の偉大さがわかる。

23 Jun 2014

『ル・コルビュジェの家』を見る


アルゼンチン映画。原題は『隣の男』。

安部公房「友達」のような、都会生活の理不尽さがテーマ。

ル・コルビュジェの歴史的建築に隣家があるのか、真相はわからない。

ステキな家だ。しかし、住んでいるデザイナーは最低。そこだけリアリズム。

美大生の椅子作品にダメ出しする様子もリアル。理論もないくせに、自分を偉いと思っている。

結局テーマは何だ?

23 Jun 2014

『タイピスト』を見る


フランス映画「タイピスト」を見た。
「のだめカンタービレ」のようなヒロインによる「格闘技映画」である。
種目はタイピング早打ちコンテスト。
ブラインドタッチを習得して女王になる後半より、一本指高速打ちの前半の方が面白い。女子高生の携帯電話早打ちに通じるものがある。
qwerty配列とジャムの関係、シフトとプラテンとベッドの関係(オリベッティ式)、ボールヘッドと電動化、など、タイプの歴史が詳しく絡んだらもっと面白いのに。
23 Jun 2014

バルテュス展を見る


終わる前に都美術館に行った。『バルテュス回顧展』という名前の割に、彼の生き方を貫く視点がない。
「バルテュスは少女趣味の変態じゃないんです」のような展示の仕方に疑問あり。
やはり普通の人が見て楽しむ作品ではない、ということを強く思ったのだった。
少女の白パンは永遠である。
少女の3Dフィギュアがあったら買ったのに。
24 May 2014

『妖怪ハンター 稗田の生徒たち(1) 夢見村にて』を読む


 ハイペース諸星の新作。
 夢を売り買いする話と海女の話。
 稗田礼二郎と関わったがため?不思議な目に遭う若者たち。
 ちょっとだけ夢の多重構造が出てくる。

24 May 2014

『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1)』を読む


これは実録物というよりジャーナリズムである。
作者にはまだ迷いがあって「現場の立場で描きたい」と言うが、作品というものは描いた瞬間に批評性を持ってしまうのだ。
『吉田調書』で私たちは生々しい事故現場を想像する。しかし、その想像力の及ばなさを突きつけてくるのがこの本だ。多くの人に読んでほしい。
24 May 2014

『北方の王者 高田屋嘉兵衛』を読む


「風雲児たち」では紙数がなく、ほとんど触れられなかった嘉兵衛の伝記を読んだ。
起業家としても最先端だが、ネゴシエーターとしての嘉兵衛は歴史に何人もいない傑物だろう。
ロシアに拉致されながらゴローニン釈放の仲介をし、択捉北に暫定国境線を決めて帰還した。現代なら外務、通産を兼ねた総理大臣みたいなものだ。
 それにしても、既に帰国していた大黒屋光太夫をロシア交渉に活用せず、最上徳内のアイヌ研究を無視し、嘉兵衛の次世代を財産没収して潰した幕府の(反対勢力の)愚かさは歴史に輝いているな。
 今も同じだが。

1 May 2014

西遊妖猿伝 5 諸星大二郎


待望の西域篇5が出た。

舞台は天山山脈の麓、東突厥と西突厥、ソグド人とキリク族との関係が描かれる。

背景にはゾロアスター教と仏教、道教。


アンソロジー『遠い世界』には異星の砂漠に点在する架空の諸民族が描かれているが、諸星の作品を読み続けていると、どれが空想でどれが歴史的事実かわからなくなってくる。


よくできた映画のマット背景画のように、境界を意識しないうちに現実とフィクションが溶け合い、交替していく。


それにしても、今は存在しない消えた民族「突厥」「ソグド人」などの実体化には驚く。

29 Apr 2014

発達障害?平賀源内


『平賀源内』芳賀徹(朝日評伝選1981朝日新聞社)を読んだ。

前項の最上徳内周辺の時代を調べるためである。


源内の日常や身辺を見ると、ADHDとアスペルガー臭がすごい。

いつも頭がオーバーヒートで、思いついたらすぐ行動に移さないと我慢できない。

自分ではよくわかって話しているつもりだが、他人が聞くと何のことだかわからない。

これが源内の生涯だった。


入獄の原因となった有名な刃傷事件も、周囲に理解されない焦りから統合失調症を発症した結果と考えられる。(例の犯罪心理学者小田晋氏が、記録に残る天才の精神疾患と犯罪が結びついた最初の例と述べている由)


最期まで「フリーは自由でいい」と言いながら、「フリーなので金がない」と嘆いてばかりいたというのも、矛盾を同居させて生きていくしかないアスペ流の特徴だ。全く同感、共感する。


源内は博物学(本草学)で業績を残したかったようだが、その自然哲学を語る暇なく逝ってしまった。

昭和の初めに全集が出ているだけ、徳内よりは恵まれているのか。



28 Apr 2014

最上徳内研究


恥ずかしながら、みなもと太郎先生の「風雲児たち」で初めて最上徳内の業績を知った。

山形の貧農から幕吏になり、数学、天文学、地理学、アイヌ文化、中国古典研究。北海道、クナシリ、エトロフ、ウルップ、カラフト探検と地図作成。ロシア人やシーボルトとの交流。寛政異学の禁とシーボルト事件を生き延びた人。
まさに彼は日本のライプニッツと言えるだろう。

早稲田大学図書館は蔵書300万冊以上を誇る。しかし、WINEシステムで最上徳内のキーワードを検索すると、下の二冊しか出てこない。

最上徳内 皆川新作 著 電通出版部, 1943.10
最上徳内 / 島谷良吉 著 吉川弘文館, 1977.8

前者は昭和18年の本である。二冊とも読んでみたが、どちらも共通の資料に依っているので、大差はない。

後者の巻末に付された書誌によると、徳内の著作は大部分が公刊されていない。つまり、徳内研究はほとんどないに等しいのだ。

本来なら「最上徳内全集」が編纂されて当然の人材である。かつて日本をダメにしたのは「大学がない」「鎖国」「身分差別」だった。平賀源内や最上徳内は世界レベルの学者であり、実践家であるにもかかわらず、地位は低かった。

今、ネットワークによって時間と空間の障壁はなくなった。「知の鎖国」をやめて、偉大な先人を再評価すべき時は既に来ている。

1 Apr 2014

ラファエル前派展


森ビルギャラリーに行った。

一言で言うと「いいとこの坊ちゃん達の耽美絵画」だな。
ただしモデルになった女性は庶民がほとんど。
英国的階級差を感じる。

彼らが標榜した精神的な高みも未達成の感あり。
同時代でもベルギー象徴派が勝る。

しかし、油彩の習作として描かれたドローイングはよい。
習作というより、独立したイラストレーションである。
それが発見できたことは収穫だった。


28 Mar 2014

大鶴泰弘について


映画の中の哲学7では、1964年の日活作品「月曜日のユカ」を取り上げる。出演。加賀まりこ・中尾彬。監督は中平康、脚本が斎藤耕一と倉本聰、音楽が黛敏郎。そして美術監督が大鶴泰弘だった。大鶴氏の紹介記事がネットに見当たらないので、ここに記しておこう。


大鶴泰弘氏は福岡県久留米市出身。旧制明善中学に学ぶ。同級生に作曲家中村八大がいた。

多摩美術大学油絵科卒。川口軌外らに師事。


日活では中平康と同期。以後公私ともに長く交流する。

退社後ワーナーブラザースに移って香港などで制作に従事。


帰国後、いくつかの映画作品に関わるが、自給自足を目指して千葉勝浦に移住。

ユニークな体験をダヴィッド社『私の田園生活』などで紹介する。


私は70年代半ばの大学時代、大鶴氏が始めたレストラン『加哩屋』でアルバイトをした。仕事の合間に氏が出題する映画クイズなどで制作側の視点に触れ、楽しかった。

彼は私の映画研究における師匠の一人である。



21 Mar 2014

ハイレッドセンター:直接行動の軌跡

松濤美術館に行く。
ネオダダ、読売アンデパンダン時代の高松、赤瀬川、中西たちの記録。
千円札と裁判記録が生々しい。

だが今回も観客にパンクはいない。つまらん。

受付の主婦パート?は来場者そっちのけで口論?している。
公共施設のカオスは展示より破壊的!

タカギクラヴィーアのカフェが気になる。


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